TOEIC Part 7で多くの学習者がつまずくのが「NOT問題」です。What is NOT mentioned…?(述べられていないものはどれか)という、いわば“逆さま”の問い方をされると、正解に見える選択肢が3つも並び、時間を溶かしてしまいます。
私はふだん作問側として問題を作っています。この記事では、その立場から「誤答(ディストラクター)がどう作られているか」を種明かしします。作り手の手の内が分かれば、NOT問題は驚くほど機械的に解けるようになります。
そもそもNOT問題とは?
NOT問題は、本文に書かれていない(または本文と矛盾する)選択肢を1つ選ぶタイプです。ふつうの設問が「正しいものを1つ選ぶ」のに対し、NOT問題は「正しいものが3つ、間違いが1つ」という構造になっています。
ここが最大のポイントです。つまり、正解の選択肢だけが本文に根拠を持たないのです。逆に言えば、消去法で「本文に書いてあるもの」を3つ消していけば、残った1つが自動的に答えになります。
出題者はこう誤答を作る:3つの型
作問側は、受験者を迷わせるために「もっともらしい誤答」を意図的に設計します。私がよく使う型は、大きく次の3つです。NOT問題では、この3型が本文に書いてある3つの選択肢として並びます。
型①:本文の言葉をそのまま使う「見覚えワナ」
本文に出てきた単語や数字を、選択肢にそのまま散りばめる手法です。ざっと読んで「あ、この言葉見た」と感じた選択肢を、受験者はつい“正しい”と判断します。
作り手としては、これがいちばん簡単で効果的です。ですから、「本文で見た単語がある=正しい」とは限らないと覚えておいてください。単語の一致ではなく、文の意味が本文と合っているかを確認する必要があります。
型②:半分だけ正しい「結論すり替えワナ」
選択肢の前半は本文と一致しているのに、主語・目的語・時制・条件だけがこっそり入れ替わっている型です。たとえば「AがBした」を「BがAした」に、「来週の予定」を「先週の実績」にすり替えます。
私が受験者の正答率をいちばん下げられるのが、この型です。文の“途中まで”で判断せず、最後まで読んで細部が本文と合っているかを照合してください。
型③:常識的に正しい「思い込みワナ」
一般常識としては自然だけれど、本文には一言も書かれていない型です。「会社なら普通そうするよね」という思い込みで選ばせます。
NOT問題では、この型がむしろ“正解”になりやすいので要注意です。常識的にありそうでも、本文に該当する一文がなければ、それがNOT(=答え)だからです。「本文のどこに書いてあるか」を指させないなら、それは選ぶべき答えなのです。
NOT問題を解く3ステップ
作り手の視点を踏まえると、解き方はシンプルです。
- 選択肢を1つずつ本文と照合する。 「これは本文のどこ?」と根拠の一文を探します。
- 見つかったら消す。 型①②③のどれであっても、本文に根拠がある選択肢は“正しい”ので候補から外します。
- 根拠が見つからない1つが答え。 3つ消えれば、残りが自動的にNOTの正解です。
コツは、設問の順番どおりに本文をたどらないこと。NOT問題は情報が本文全体に散らばっているため、選択肢を起点に本文を行き来する方が速く解けます。
私自身の解き方(実体験)
私が本番形式の演習で徹底しているのは、「探す」より先に「消す」準備をすることです。具体的には、まず設問を2問だけ先読みします(選択肢までは読みません)。Part 7は本文の流れに沿って設問が作られることが多いので、「何を聞かれるか」だけ頭に入れて本文を読み始めます。
読み進めて設問2問ぶんくらいの情報が出てきたら、一度設問に戻り、選択肢の消去を始めます。このとき、TOEICは問題用紙に書き込みができないので、左手の指を本文の根拠箇所に置いたまま、目で選択肢と照合していきます。指がしおり代わりになるので、「あれ、どこに書いてあったっけ」と本文を彷徨う時間がなくなります。NOT問題は特に、この「指を置く→照合→消す」を3回繰り返すだけの作業になります。
まとめ
NOT問題は「正しいものを探す」のではなく、「根拠のあるものを消していく」ゲームです。私たち作り手は、見覚えワナ・結論すり替えワナ・思い込みワナの3型で誤答を作ります。逆に、この3型を見抜いて確実に消していけば、残る1つが答えになります。焦らず、選択肢ごとに「本文のどこか」を指させるかを問い続けてください。
実際のNOT問題で練習しよう
理屈が分かったら、あとは手を動かすだけです。NOT問題は特定の文書に限らず、Eメール・広告・記事・お知らせ・チャットなど、さまざまな文書タイプで出題されます。どのタイプでも「本文に根拠のある選択肢を消す」という解き方は変わりません。
drillahには、本記事で解説した3型の誤答を実際に含んだ問題を用意しています。解いたあとは各設問の解説で「なぜその誤答が作られたのか(型①②③のどれか)」まで確認できるので、作り手の視点がそのまま身につきます。
まずは1セット、今日の「指を置く→照合→消す」を試してみてください。すべて無料で解けます。